不起訴と前歴

不起訴の理由には様々なものがありますが、もっとも多い理由は「起訴猶予」と言われています。

「起訴猶予」とは、被疑者が罪を犯したという有罪の証明が可能であっても、様々な事情を考慮して、検察官の判断により裁判に持ち込まないことです。

様々な事情としては、初めての犯行である、被害者と示談が成立している、罪を認めて反省している、といったものがあります。特に被害者がある犯罪については、被害者と示談が成立しているという事情は重視される傾向にあるようです。

 

「起訴猶予」以外にも、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」という理由で不起訴になる場合もあります。

「嫌疑」とは、要するに、罪を犯したという疑いをかけられているということです。

そこで、「嫌疑なし」という理由は、被疑者を逮捕したが、捜査の結果真犯人が出てきた場合など、逮捕した被疑者に対する疑いが晴れたときに用いられます。

「嫌疑不十分」という理由は、被疑者が罪を犯したことが予測されるが、決定的な証拠がない時などに用いられます。

 

起訴されることはなくても、被疑者として警察や検察などの捜査機関で捜査の対象になったという「前歴」は残ってしまいます。

 

前歴が付いた場合、再就職時や結婚する場合など、嘘をつくことが望ましくない局面で、どこまで正直に話せるのか?という点が心配になると思います。

 

「嫌疑なし」の場合は話しても問題がないかもしれませんが、「嫌疑不十分」や「起訴猶予」の場合は、先々の信頼関係を考えた上でどこまで話すのか?そもそも話さないほうがいいのか?など難しい決断を迫られます。

その選択を間違えてしまうと、就職が出来ても、前歴がある、という事実が会社に知れた時に解雇される恐れがあるかもしれません。

結婚した場合に、結婚後に前歴があるとパートナーに知れてしまった時に、前歴があることを受け入れてくれる相手であれば望ましいでしょうが、受け入れられずに離婚に至るケースもあるようです。